ネネとはその後も、今でも週1で会ってはセックスする関係だ。彼女にはその後告白してきた男も居たらしいし、好きになった人も居た。それでもずっと彼氏は作らず私にその事を報告してくる。
色々な所へネネと一緒に行った。ディズニーランドの様なテーマパークから海沿いの公園、紅葉が綺麗な山。それぞれの季節でその景色を楽しんだ。ある春のことだった。桜がもうすぐで咲こうかという頃に私はネネとファミレスに居た。
突然の告白
「私やっとわかったの。」
それからしばらく沈黙が続いた。私が耐えきれずになにがわかったの?と聞くととてもうれしい事を言ってくれた。
「おっさんの事大好き。」
まるで初めての告白の様に恥ずかしそうなネネ。私の目を上目遣いで見つめていた。もう出会って何年経つんだろう。雪が降る東京で初めてデートし、セックスしたことを思い出していた。もう2年だ。
「私みたいなヤツいやだよね。いつもとは違うの。あなたが好き。」
「私と付き合ってくれませんか?」
何故だろう。嬉しかったのは確かだ。それと同時にすごく寂しい気持ちだった。今の関係がとても心地良かった。ネネがネネらしく見えたし、ネネはこういうやつだってそう思ってた。ネネは手の届かない存在だとずっと思っていた。彼女にするなどと考えた事も最初出会った時以来全く無かった。どう返事したらいいだろうと困っていた。
ネネは私の事を見ながら泣いていた。
「こんな気持ちになったの初めてだった。本当に感謝してる。ずっと自分勝手で本当にごめんなさい。」
そう言い残してネネは飛び出して行ってしまった。
もう会えない
私はこの時がいつか来るとわかっていた。ネネに彼氏ができたら。ネネが結婚したら。いつか会えなくなるのだろうと。もうネネに会えないのだ。これからどうやって生きていこう、そう思っていた。
本当に迷惑な客だったと思うが私は呆然とネネとの日々を思い出しながらファミレスに居た。後で知ったが長く思えたその時間もたったの1時間だった。横に人が来て立ち止まった事を感じて振り返るとそこにはネネが居た。
「彼女になれなくてもいい。あなたのそばにいたい。」
ネネはそう言って私の横に座って私の手を握った。その手は冷たくなっていた。私は両手で握り返して温めていた。
「きっと私なんかよりずっと良い彼女が見つかるよ」
そうネネは言って涙を目に浮かべていた。そんなことあるわけない。そう私は思っていた。きっとこれでよかったんだ。とも思っていた。ネネから告白された時、それでもずっと私から離れなかったのはネネは手が届かない存在で、付き合うとかそういう事じゃないってことだった。
それでも私にとってネネという存在が大きく揺らいだ1日だった。
この日の事を忘れたい、何故かそう思った私は必死で出会い系サイトにかじりついていた。
彼女を出会い系で探すということ
この時はペアーズ(Pairs)というサイトを使っていた。彼女を探すには良いサイトと評判を聞いたからだった。何人もの人とメッセージを交換し、実際に会った。その度に私の胸にはネネの存在が浮かんでいた。きっとこの子と付き合ってもネネとの関係は続けたいと思ってしまう。どんな子と出会ってもひたすらそう思うだけだった。
もう気付いていた。ネネと本心では付き合いたかったんだろう。それでも踏み切れないのは私の心がただ弱いからだった。出会い系サイトで出会った子達とは数回会うだけで終わる様な関係を何度も続けた。その度にネネへの想いが募るばかりだった。
この頃から、ネネとのセックスが変わっていった。きっと付き合っているカップルのセックスはこんな感じなんだろうなと思っていた。ネネはセックスする度に涙を流す様になっていた。私は怖くてその涙の理由を聞く事ができなかった。
「ごめんね、なんでだろうね。」
そうネネは言うだけだった。